カビ・虫食い

●たばこの灰でも生地はとける…
●美容院へは普段着で
●ストーブには後ろ向きにあたらないで
●スーツを買うときは奥様と一緒に
●つくられた白さは黄変します
●高額品は必ずしも高級品ではない
●新しい服でも傷んでいる場合がある
●気付かずに衣服を傷めていることがある
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事例研究

◇ モール糸使いのセーター
◇ ベストの毛羽立ち
◇ スポーツパンツの汚れ
◇ ローラー捺染で続出したトラブル
◇ サマージャケットの破れ
◇ 強撚糸のツーピース
◇ 紳士ベストのモアレ
◇ 防虫剤「ゴン」による変色

◇ 日光による絹ブラウスの変色
◇ 綿Tシャツの破れ
◇ セーターの穴あき
◇ ブラウスのスリット傷
◇ スラックスの折り目破れ
◇ ジャンパーの変色
◇ カーテンの破れ
◇ ワイシャツの衿剣先による穴あき

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 たばこの灰でも生地はとける…
ポリエステルのコートなどの前裾に、白くて細い筋のシミに見えるものが見つかることがあります。これは、繊維がタパコの灰などの熱で熔けたものです。

■クリー二ング後に目立ちます
この白く見えるキズは、一見シミのように見えます。クリー二ングする前には汚れやシワにまぎれていたため目立たなくても、クリー二ング後にきちんと仕上げると、このキズが際立つてきます。このことから、「以前はこんなキズは無かったのに……」ということになつてしまいます。

■独特の現象が見られます
この事故は、タパコを吸う人{こ限つて前裾に現れること。繊維を織った山の部分が熔けていること。熱に弱い合成繊維にだけ起こることから、タバコの灰によるものだということがわかります。
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 美容院へは普段着で
■パーマ液は変色の原因になります
衿回りや肩などの一部が、濃い焦げ茶や赤紫色に変色している場合、その服を美容院に着ていかなかったかどうか、考えてみる必要があります。パーマ液の第一液は還元剤、第二液は酸化剤です。これらの薬品は染料に強い影響力を持っています。美容院では十分に配慮していますが、念のために多少の変色があっても構わないような普段着で出かける方が安心です。

■パーマ液による変色は後から起きることが多い
バーマ液は、10%以下の薄い水溶液です。すぐに変色しなくても、クリー二ング後や保管中に化学変化が進み、衣服を変色させてしまいます。バーマ液はドライクリー二ングでは落ちません。気がついたらすぐに水で濯いでください。
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 ストーブには後ろ向きにあたらないで
ストーブで生地が焼け焦げたり、熔けたりしてしまうことがあります。特に後ろ向きにあたっていると、気がつきにくいからでしょう。

■ドライクリーニングではアイロンの焦げはない
クリーニングの後に見つかる焦げというと、すぐにアイロンを思い浮かべますが、現在のドライクリーニングの仕上げは、ほとんど蒸気プレスですから、局部的に焦げるということはありません。

■ストーブの縁は160℃の熱
ストーブの金属製のフェンスの部分でも、160℃くらいの温度があります。ファンヒーターの吹出し口でも100℃前後の高温(HOT DUSH)です。

■クリーニングしてわかることもある
焦げたり熔けたりしても、汚れにまぎれて気づかないでいると、クリーニング中に硬化している部分が破損してしまうことがあります。
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 スーツを買うときは奥様と一緒に
■背中のダキシワに気をつけて
紳士服の大型専門店も急増し、手軽な価格で色、柄、デザインを気楽に選ぶことができるようになりました。そんな店では、老若紳士が鏡の前で試着しては、「うん、これにしよう」とお気に入りのスーツを決めています。ここで、ちょっと待ってください。背中の部分のフィット性は確かめられていますか?この部分は男の背中を決める重要なポイント。脇下から衿にかけての八文字状のシワ(ダキシワ)は、とても格好の悪いものです。鏡では見えない背中のシルエットは、奥様かお友達に確認してもらってから購入するようにしましょう。最近の日本人の体型は上半身の大きい逆三角形型が多く、胸囲、腕回りが大きくなって、数年前のサイズとだいぶ違ってきていますから、ダキシワには特に注意したいものです。
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 つくられた白さは黄変します
■純白の繊維素材はありません
ウ―ルやシルクなどの夕ンパク質系の繊維は、本来黄色みを帯びています。また、ポリエステルなどの合成繊維であっても、染色される前は半透明で黄色みを帯びて見えます。綿や麻などの植物繊維も「生成り」という言葉の通りです。これらの素材を鮮やかな、輝くばかりの白にするためには、白く見えるように染めなければなりません。この際最も多く使用されるものが蛍光染料です。

■純白は自然に黄色みを帯びた状態に戻ります
蛍光染料は、困つたことに直射日光に弱く黄ばんでしまうという性質を持つています。日光を反射する白は、夏の日差しの強い季節によく用いられますから、どうしても避けられない運命です。ただし、水洗いの場合は洗濯行程で蛍光染料を加えることができますが、ドライクリーニングではほとんど不可能で、この純白の寿命は短いものと心得ておいてください。
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 高額品は必ずしも高級品ではない
大胆なデザインや目新しい素材使いのファッション製品は、小量生産だから高価格。だからといって価格の分、品質が良いともいえません。

■デザインのオリジナリティが高いものほどリスクも大きい
従来にないデザインや素材使いは、逆に言うと、品質上の不安から多くのメーカーが避けていたものである場合があります。縫い込みや編み込みなどとても不可能なデザイン素材を、接着剤で生地に貼りつけてあるもの。白い生地と鮮明な色彩の素材との組み合わせ。複雑なプリーツや型押し。革と綿など極端に異質な素材の組み合わせ。いずれもメンテナンス上大きなリスクを持ったものです。

■輸入ファッションに特にご注意
円高もあって海外ブランド製品が身近なものになりましたが、製品によっては、日本人の品質意識と極端にかけ離れたものもあります。
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 新しい服でも傷んでいる場合がある
新しい服を買ったからといって、必ずしも仕立て上りのものであるとは限りません。製造から流通、店頭展示までの間に傷んでいる場合がありますので、購入の際には注意してください。

■紫外線ヤケに注意しましょう
衣料品店によっては、店先の歩道にまではみ出して商品を展示しているところもあります。直射日光に長時間さらされると、染料や生地が紫外線によって変質してしまい、いわゆる変退色が発生してしまいます。また、店内であっても蛍光灯の紫外線の影響を受けています。

■変退色の状態を確認しましょう
日光や蛍光灯の紫外線による変退色の状態をチェックするポイントは、光に最もさらされている部分と、そうでない部分を比較することです。裏地の無いものであれば、生地の裏側、裏地があればエリ裏、などと比較してください。
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 気付かずに衣服を傷めていることがある
■ポケットに硬いものを入れた場合
最近は何でもコンパクトになって、ポケットサイズという言葉が一般的です。
電子手帳、携帯電話、カメラなどの硬いものを、ポケットに入れておくと、生地が擦れてしまい、クリーニングによって、損傷が際立ってしまうということがあります。

■ショルダーバッグのベルトなどによる擦れ
ショルダーバッグのベルトや、腕にかけるハンドバッグのベルトなど、外出時に常に擦れる部分、会社や学校などで、いつも座っているイスのキズなどによって、傷んでしまうことがあります。

■バッチ、ブローチなどによる穴あき
特にニット製品の場合、気をつけたいのが、バッチやブローチのピンによる糸切れです。クリーニングによって、大きく目立つようになります。
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